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福岡高等裁判所 昭和36年(ネ)334号 判決

控訴人 申請人 福島ユキエ

訴訟代理人 下尾栄

被控訴人 被申請人 佐藤釈加

訴訟代理人 大家国夫

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取り消す。福岡地方裁判所小倉支部が債権者控訴人、債務者被控訴人間の昭和三五年(ヨ)第二四〇号仮処分申請事件につき、同年九月五日なした仮処分決定はこれを認可する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、主文同旨の判決を求めた。

事実及び証拠の関係は、

被控訴人において「(一)本件仮処分を消滅させなければならない緊急性について。元来控訴人は被控訴人の亡夫政雄の妾で、有限会社室町ビルの社員でなかつたところ、政雄死亡後に社員となつた旨社員名簿に記載をなし、これが偽造、無効のものであるか否かが現在争訟中であるため、有限会社の運命に関しては、無関心で、自己の懐に金を取れるだけ取れば、会社はどうなつても構わないという経営方針である。すなわち、会社の僅かな収益の内から永年一ケ月二万円の報酬を取つていたため、控訴人が取締役として職務執行中は、一銭の利益配当もしないばかりか、会社の税金を滞納し、その額は現在数十万円となつている。かかる重大な事由があるため、社員総会において控訴人を解任し被控訴人を取締役に選任したところ、被控訴人は本件仮処分によりその職務執行を停止され、弁護士浦田誠道が取締役職務代行者に選任され、昭和三六年七月招集された社員総会における会計報告により、取締役職務代行者の報酬一ケ月一万五千円の外に、控訴人に管理手当として月五千円、電話交換手に給料月六千円、その他掃除料などを支出していることが判明した。なお右の外控訴人が会社に対し貸金があると称して、会社から金を取り出している形跡もあつて、滞納税金は減少せず、会社の経理は極度の不安状況にある。会社の収入といつても、会社所有の家屋に居住する数世帯の借家人から家賃を収得するだけであるから、控訴人が取締役の職務執行中に報酬月二万円を受け取つていたこと自体が不当で、電話交換手のごときは不必要であり、掃除も取締役自身がすればよく、取締役職務代行者の選任を求めるがごときは、贅沢なことである。(二)保証金の額について。先に一言したように別件において、控訴人の社員権自体が訴訟の対象となつている上に、控訴人は無資力者であるから、万一仮処分決定を認可される場合は、取締役職務代行者の報酬月額一万五千円、控訴人の管理手当月額五千円計二万円を基準とし、仮処分決定から本案訴訟完結までの期間を三年と見て、三六ケ月分金七十二万円の保証を立てさせた上で認可さるべきである。」と述べ、疎明として、当審証人内山哲治の証言を援用し、後記疎甲号各証の成立を認め、

控訴人において「(一)定款に取締役として記載されている控訴人を解任するには、総社員の議決権の四分三以上の多数決をもつてする定款変更の手続を要する。物的会社である株式会社においてさえ、取締役を解任するには、株主総会の特別決議を必要とする(商法第二五七条第一、二項、第三四三条参照)。人的会社である有限会社では、最初から定款で取締役を定めることができ、その任期についても制限がないので、有限会社の設立にあたつて、定款をもつてある特定人をその生涯取締役と定めることも可能である。かような場合でも、定款によらずして会社成立前の社員総会によつて取締役が選任された場合と区別しないで、等しく一律に、社員総会の通常決議で取締役を解任することができると解するのは、有限会社が人的会社である特質を理解しない見解である。原始定款に特定人をその生涯取締役と定めていなくても、原始定款で取締役を定め、かつ、その後取締役を改選するについて、定款変更の手続が採られている本件会社の取締役に関しこれを改選(解任、選任)するには、定款変更の手続を要するものと解すべきである。(二)被控訴人の前示(一)の主張について。控訴人は佐藤政雄と同居中、同人に財政的援助を与えて、有限会社室町ビルの経営に資する所が大であつた。政雄死亡前に控訴人は同会社の持分千口を譲り受け、その社員名簿の記載は政雄生前の委任に基いて正当になされたもので、被控訴人のいうような不正は絶対にない。昭和三一年八月政雄死亡後、右会社が税金を滞納したので会社所有の家屋が差し押えられ、公売直前控訴人は一〇万円を立て替え支払い、差押を解除して貰つた程である。被控訴人及びその同調者が右会社を否認するので、控訴人は川上ヒサと二人で同会社を経営してきたが、同人に支払つてきていた監査役の報酬月額二万円の支出が、所轄税務署から認められず、従つて同人に対する支払を停止したため、川上ヒサが反心するにいたつた。昭和三四年末まで同人に支払つた監査役報酬が、税務署から会社の利益と認定され、昭和三五年度の国税は一躍一七万円余となり、全額滞納のため、前示家屋が差し押えられたので、浦田誠道弁護士が取締役職務代行者に選任されると、同人は税務署に対し滞納税につき個人保証をなして差押の解除と税金分割払の承認を受け、鋭意分割払を実行した結果、現在一万五千円を滞納するに過ぎず、また、昭和三五年度の県税は六万余円に跳ねあがり、全額滞納のため、電話加入権の差押えを受けているが、逐次分割払をして、現在二万円の滞納金を残すのみである。控訴人は浦田職務代行者から、前示家屋の管理を一任され、同家屋の掃除その他の管理をなし、管理手当月五千円を受けることになつているが、その支給も途絶え勝ちである。浦田職務代行者への報酬月額一万五千円は、昭和三五年一〇月分までが支払われただけで、その後の分は支払ができていない。被控訴人の女婿内山哲治が家賃を支払わないよう借家人をそそのかしているので、会社は収入減少し、滞納税金の納入その他に苦心している実情である。(三)被控訴人のいうように控訴人は無資力ではない。」と述べ、疎明として、疎甲第一四号証から第一七号証まで、第一八号証の一から七まで、第一九号証の一から六までを提出し、当審被控訴本人の尋問の結果を援用し

た外は、原判決に示してあるとおりである。

理由

一、有限会社室町ビル(以下単に会社と書く)が資本の総額三十万円、出資一口の金額百円と定め貸家業を営むことを目的として、昭和二五年一〇月二五日成立したことは当事者間に争がなく、成立に争のない疎甲第一号証、原審控訴本人第二回尋問の結果によれば、会社設立当時の社員及びその出資口数は、社員水田秀一と鈴木清が各千口、社員佐藤政雄と川上兼吉とが各五百口であつたところ、昭和三〇年一〇月頃控訴人が鈴木清からその持分(出資口数千口)の譲渡を受け、持分の取得として昭和三一年八月頃譲受出資口数千口を社員名簿に記載し、社員の資格を承継取得したことが疎明される。また、被控訴人が昭和三五年五月三〇日会社の定時社員総会(以下単に本件総会と書く)の決議によつて、その取締役に選任されたとして、その頃その旨登記のなされたことは、当事者間に争がない。

二、ところで控訴人は、本件総会は、つぎの事由により不存在である。すなわち、会社の定款によれば「社員総会の議長は社長これに任じ、社長事故あるときは取締役これに任ず。」とされ、当時取締役は控訴人一名のみであつたから、控訴人が当然議長となるべきであるが、控訴人は本件総会においてなんら開会を宣していないのに、単に同総会のため出席していた佐藤マリコ、川上ヒサ、被控訴人らにおいて勝手に、予め佐藤マリ子が用意していた紙片を取り出して配布し、右三名が同紙片に取締役被控訴人、監査役川上ヒサと書き残して退散したものに過ぎないので、いまだ会社の社員総会の決議があつたとするを得ないので、被控人が取締役に選任されたと称する本件総会の決議は不存在で、被控訴人は取締役でないと主張するので考えるに、社員総会の決議をもつて解任されたとする取締役が、その社員総会の決議は不存在であつて、自己が依然として取締役であり、同総会の決議をもつて選任された某取締役は法律上取締役たる地位を取得しないと主張するには、その前提として会社を相手取り社員総会決議不存在確認ないし同総会決議無効の訴を提起して勝訴の確定判決を得るを要せず、攻撃方法としてこれを主張しうると解すべきところ、前示疎甲第一号証、成立に争のない疎甲第一一号証、疎乙第二号証、郵便官署の作成部分につき争がなく、その余の部分は原審証人佐藤マリ子の第一回証言により成立を認め得る疎乙第一号証、同証言、原審証人川上ヒサの証言、原審被控訴本人尋問の結果、当事者口頭弁論の全趣旨を合わせ考えると、会社の口数は全部で三千口で当時の社員である佐藤マリ子、川上ヒサ、被控訴人の合計出資口数は二千口(控訴人の出資口数は前示のとおり千口である)であるところ、当時唯一人の取締役であつた控訴人が昭和三四年五月の定款所定の定時社員総会を招集開催せず、昭和三五年五月の同総会も招集する様子がないので、前示被控訴人ら三名は、昭和三五年五月一三日連名をもつて会社取締役たる控訴人に対し「昭和三三年度及び三四年度の決算報告に関する件」並びに「取締役並びに監査役改選の件」を総会の目的事項とする臨時社員総会を開催するよう請求した。これに対し、控訴人から昭和三五年五月二一日附書面をもつて、各社員に対し、同年五月三〇日午前一〇時三〇分会社事務室内で社員総会を開催する旨の招集通知があり、全社員は定刻右事務室に出席した。ところが、控訴人は会社の顧問柳瀬喜代治が会社経理担当の藤本税理士事務所から、会社の帳簿を持ち帰るまで開会を待つよう要請していたが、定刻を二、三〇分程過ぎても柳瀬が帰つて来ないので、川上ヒサ、佐藤マリ子及び被控訴人は、控訴人に対し早く開会を宣するように請求したため、控訴人は議長としてやむなく開会を宣した。そこで佐藤マリ子が取締役並びに監査役の改選を議することを議長である控訴人に請求したところ、控訴人はなんら理由もないのにこれに反対して拒絶し、議案を上程して議事を進行することは到底不可能の有様であつたので、被控訴人及び佐藤マリ子は、「こういう状態ではなにもできないから議長は不信任と思うので川上ヒサが議長になつてくれ」と発言し、川上ヒサもこれに賛成して、結局控訴人を除くその余の社員全員三名の決議をもつて議長である控訴人の不信任を議して、控訴人の議長たることを解任し、同時に川上ヒサを議長とすることを議決し、新議長川上ヒサのもとに社員総会の議事に入つたこと。会社の定款には総会の議長につき控訴人主張のような規定があるが、当時取締役は控訴人ただ一人であつて、控訴人以外に定款所定の議長たる資格を有する者はいなかつたこと。同人は取締役、監査役の改選を議題として議事には入つたところ、控訴人は議決権を行使せず、前示三名一致の決議をもつて、取締役たる控訴人を解任し、被控訴人を取締役に選任し、監査役は解任せず川上ヒサを依然監査役とすることを議決したこと、しかるに控訴人が右のような決議を不満とするところから、会場の空気はいよいよ険悪の度を加え、これ以上議事を進めることは困難となつてきたので、議長たる川上ヒサは、同日の社員総会を閉会する旨を宣し、これに対し控訴人を含め他の社員において異議を述べなかつたことの各事実が疎明され、原審証人柳瀬喜代治の証言、原審及び当審控訴本人尋問の結果は右の疎明に打ち勝つものではない。

社員総会の決議の不存在とは、総会の決議が法律上存在しないことをいうのであつて、例えば、(1) 社員の集会が全然ない場合(において、総会の決議があつたものとして内容虚偽の議事録が作成されているがごとき場合)。(2) 総社員の同意がないのに総会招集の通知をしないで開かれた一部社員の集会における決議または全く招集権限のない者において招集した総会における決議。(3) 一部少数の社員にのみ招集通知があり、大多数の社員に招集通知がないのに極めて少数の社員が集会においてなした決議等のごときを指し、右認定におけるような総会の決議をもつて法律上存在しないものと解することはできないので、これを不存在とする控訴人の主張は理由がない。

三、控訴人は仮りに本件総会の決議があつたとしても、同決議は左の(一)ないし(五)の事由により取り消し得べきものである。すなわち、(一)定款所定の議長である控訴人が開会を宣していないのに、川上ヒサ、佐藤マリ子、被控訴人の三名において勝手に議決したものであるから本件決議は取り消し得べき決議であると主張するがこの主張は前認定にてい触する事実を前提とするもので理由がない。

(二) 前示のとおり本件総会の議長は、定款においてその資格が定められているのに、その資格を有しない監査役が議長として閉会を宣告する等議事進行の任に当つたのは法令定款に違反していると主張するけれども、前認定のような事情(総会は開かれたのに議長である控訴人が請求にかかる議案の上程、議事の進行を拒否して、議事は全く停頓したこと等)の下に定款所定の議長の資格を有する者は、唯一人の取締役である控訴人だけである本件において、前認定のとおり、控訴人の議長たることを信任せず、これを解任し、川上ヒサを議長に選出し、同人において議長となり議事を進行し控訴人の取締役たることを解任し、被控訴人を取締役に選任する決議をしたのは、事情まことにやむを得ないところであつて、この決議をもつて取り消し得べきかしあるものと解することはできないので、控訴人の右(二)の主張も理由がない。

(三) 取諦役の解任及び選任については、本件総会招集通知書に記載されていないにかかわらず、通知のない右事項についてなされた決議は取り消しうべきであると主張するが、有限会社の社員総会においては、株式会社の株主総会と異なり、有限会社法第四〇条第一項各号所定の行為をなすについての決議につき、その行為の要領を招集通知に記載することを要する等の例外を除いて、原則としてその招集通知には会議の目的たる事項の記載を必要としないので(商法第二三二条第二項、有限会社法第三六条、同第四〇条第二項各参照)、本件総会の招集通知に取締役の解任、選任を会議の目的事項として記載してなかつたとしても、これについて議決し得ることは当然であつて、これを然らずとする控訴人の主張は、採用に値しない。

(四) 会社の定款上取締役の任期についての定めがなく、かつ、不正または不適任等控訴人を解任すべき正当事由がないのに取締役たる控訴人を解任した本件総会の決議は、取り消し得べきかしがあると主張するが、有限会社の社員総会の決議は、有限会社法または定款に別段の定めがないかぎり、いわゆる通常決議をもつて議決しうべく(同法第三八条の二)、取締役の解任に関して有限会社法には別段の定めがなく(同法第三二条、商法第二五七条第一項参照、ことに同条第二項の準用のない点注意)会社の定款にも別段の定めのないことは、前記疎甲第一号証に徴し疎明されるので、取締役に任期の定めがあると否とを問わず、不正、不適任等の解任すべき正当事由の有無にかかわりなく、総会は通常決議をもつて取締役を解任し得るものと解すべく、これに反する控訴人の主張は採用に値しない。

(五) 会社の原始定款には取締役佐藤政雄、同川上兼吉と記載されており、昭和三二年一二月二六日社員総会の決議により控訴人を取締役に選任し、これは定款に記載されて、定款の内容となつているので、かような控訴人を解任するには定款変更の手続、すなわち総社員の議決権の四分の三以上の同意を要するものというべきところ、本件総会において控訴人を解任し、川上ヒサを取締役に選任することを議決した、川上ヒサ、佐藤マリ子、被控訴人の議決権は、合算しても総社員の議決権三千個の三分の二である二千個に過ぎないので、有限会社法第四七条第四八条に違反し、結局社員総会の決議の方法が法令に違反している不適法な決議であるとの主張について。

原始定款をもつて取締役と決定された者を解任するには、定款変更の手続をもつてするを要するという説と、通常の取締役解任の手続をもつてなし得るとの説とがある。

当裁判所はつぎの理由によつて、両説の中後説をもつて正当と解する。すなわち、(1) 定款に取締役の任期の定めがあるときは、任期の満了とともにその取締役は資格を失い、会社は後任取締役を選任しうべく、この場合も反対説は定款変更の手続がなされないかぎり、その取締役は取締役たる地位を失わないと解するであろうが、かくては取締役の任期を定めること自体が無価値であり、反対説の結論には合理的根拠がない。(2)有限会社法第三一条の三の規定による取締役解任の訴につき、原告勝訴の判決が確定したときは、(この判決は一般に取締役解任決議と同等の効力があると解されている)定款変更の手続の有無にかかわらず、その取締役は解任されたと解すべきである。反対説からはこの場合も定款変更の手続がとられないかぎり、解任の効果を生じないと解するの外はないであろうが、かように解するのは右第三一条の三の規定を無視するものである。(3) 会社合併を例にとれば、合併の場合存続会社については法律上定款の記載事項が変更されることになるが、それは定款変更でなく、合併に伴う現象である。すなわち定款の文言は定款変更の手続によらないで、実質的に変更され得ることがあるのである。これと等しく、取締役の任期の終了解任判決の確定、解任決議により定款に定められた取締役はその地位を失うことになるが、それは任期の終了、解任判決の確定、解任決議に伴う現象として、定款記載の取締役は、別に定款変更の手続によらないで、実質的に資格を失うと解して支障がない。(4) 取締役を定めた原始定款の規定は他に特別の定款の規定がないかぎり、定款の同体的構成部分ではなく、たんに定款の作成に当つて将来の社員たるべき者により設立中の会社の名においてなされた取締役の選任を示すに過ぎず、ことに有限会社法第三二条が商法第二五七条第一項を準用しながら同条第二項を準用していないこと及び有限会社法第三八条の二の法意並びに前陳(1) ないし(3) の説示に鑑みると、たとえ控訴人主張のように控訴人が社員総会の特別決議をもつて取締役に選任され、その旨定款に記載されたとしても、控訴人を解任するについて定款変更の手続を要しないと解するのが相当である。控訴人主張のように有限会社が人的会社であること、有限会社法第一一条の規定が有限会社の組織の簡易性と人的会社的契機を示すものであるということは以上の解釈の妨げとなるものではない。(独逸有限責任会社法第六条、第三八条の解釈として、原始定款をもつて業務執行者を定めた場合でも、定款に別段の定めがないかぎり、第三八条第一項に従い何時でも解任しうべく、業務執行者を定めた定款の規定は、定款の構成部分ではなく、たんに定款の作成に当つてなされた業務執行者の選任に過ぎないと解されている。)これに反する控訴人の法律上の主張は採用しがたい。

四、以上の認定説示により明らかなように、控訴人を解任し、被控訴人を会社の取締役に選任した本件総会の決議はなんら不存在、不適法ないし違法のかしあるものではないので、控訴人の本件仮処分申請はその余の争点について判断するまでもなく、失当であつて排斥を免れない。

されば右仮処分申請を認容し、控訴人から会社に対する本件総会決議取消訴訟の判決に至るまで被控訴人の会社取締役の職務執行を禁止し、その期間中浦田誠道を取締役の職務執行代行者に選任した原審の仮処分決定は不当であるから、この決定を取り消し控訴人の仮処分申請を却下した原判決は相当で、控訴は理由がない。

よつて民事訴訟法第三八四条第九五条第八九条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判長判事 川井立夫 判事 秦亘 判事 高石博良)

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